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よりみち

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Story.03
カウンターというVIP席で見るラーメンの世界

  •  飲食店の取材に行くとき、何が心ときめくかといえば店の聖域かつ心臓部である「厨房」。
     一般家庭では見ることのない調理道具や大きなガス台、俵のような寸胴や七色に光るタレや油などを目にすると、湧き上がる好奇心たるや留まることを知らない。
     どんぶりをそのまま寸胴に浮かべ、表裏一体で熱さを保持する。その余分スベースで麺を湯切りし、湯切りざるに入れて茹でること数分。複数のスタッフをかかえる店舗では、それぞれの仕事がきちんと分担され、ゴールを目指す連携プレーはショータイムといっても過言ではない。

  •  観客である客は、カウンターでじっと自分のラーメンを待つ。鍋から立ち上る湯気の向こうに見える複数の丼の中から自分のラーメンを探し出す。あれに見えるは私の丼じゃないか、いや、あのタレは味噌だ。ややや、あちらのチャーシューは3枚越え、それも相当ぶあついじゃないか! そんなことをぼやけた視力で眺めながら、今か今かと自分のラーメンを待つ。「料理を100として、写真を1枚撮るごとに20減ると思え。今5枚撮ったから、おまえに出した料理の味は0に等しい」と書いた作家がいたが、我々は職業柄そうはいかない。
     カメラマンは「私延びてしまいますわよ」としなだれていく麺を見ながら、一分一秒を競って撮影を続けるのである。では、食レポは伸び切ったラーメンを? 安心してください、ライターは出来立てをいただいてますよ。